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摩訶般若波羅蜜経無生品第二十六

二、スブーティ、事物は生滅しないから事物であることを説く

舍利弗問須菩提。
何因
故。色不生是非色。受想行識不生是非識。
舎利弗が須菩提に質問した。
「どういうわけで、物質的存在は生じないということ、これが物質的存在でないということであり、感覚・知覚・意志・意識(五陰)は生じないということ、これが〈感覚・知覚・意志・意識・〉意識でないということなのでしょうか。
乃至一切種智不生是非一切種智。
須菩提言。
色色相空。色空中無色無生。
さらに一切種智は生じないということ、これが一切種智でないということなのでしょうか」
須菩提が言った。
「物質的存在、物質的存在の姿かたちは空です。物質的存在の空の中に物質的存在はなく生ずることもありません。
以是因故。色不生是非色。
受想行識識相空。識空中無識無生。
以是因
故。受想行識不生是非受想行識。
こういうわけで、物質的存在は生じないということは、物質的存在ではないということであり、
感覚・知覚・意志・意識、意識の姿かたちも空であり、意識の空の中に意識はなく生ずることもありません。
こういうわけで。感覚・知覚・意志・意識は生じないから、感覚・知覚・意志・意識でもないということなのです。
舍利弗。檀那波羅蜜檀那波羅蜜相空。檀那波羅蜜空中無檀那波羅蜜無生。
尸羅波羅蜜
提波羅蜜毘梨耶波羅蜜禪那波羅蜜般若波羅蜜。般若波羅蜜相空。
舎利弗。檀那波羅蜜、檀那波羅蜜の姿かたちは空です。檀那波羅蜜の空の中に檀那波羅蜜はなく、生ずることはありません。
尸羅波羅蜜
(シーラ:持戒、〜の超越)提波羅蜜(クシャーンティ:忍辱、〜の超越)・毘梨耶波羅蜜(ヴィーリャ:精進、〜の超越)・禅那波羅蜜・般若波羅蜜、般若波羅蜜の姿かたちは空です。
般若波羅蜜空中無般若波羅蜜無生。
以是因
故。舍利弗。般若波羅蜜不生是非般若波羅蜜。

般若波羅蜜の空の中に般若波羅蜜はなく、生ずることもありません。
こういうわけで、舎利弗、般若波羅蜜は生ずることはなく、般若波羅蜜ではないということなのです。

空乃至無法有法空。
四念處乃至十八不共法。
一切種智亦如是。
以是因
故。空不生是非內空。乃至一切種智不生是非一切種智。
内面の空から存在せず存在する事物の空、
四つの観行、さらに十八の〈仏以外には〉具わらない事物、
一切種智もまた同様です、
こういうわけで、内面の空は生ずることはなく、内面の空ではないということなのであり、一切種智は生ずることはなく、一切種智ではないということなのです」
舍利弗問須菩提。
汝何因
故。言色不二(不滅ならん)是非色。受想行識不二(不滅ならん)是非識。
乃至一切種智不二(不滅ならん)是非一切種智。
舎利弗が須菩提に質問した。
「あなたはどういうわけで、物質的存在が滅するということがないということは物質的存在でないということではなく、感覚・知覚・意志・意識が滅するということがないということは意識でないということではなく、
さらに一切種智が滅するということがないということは一切種智でないということではないと言うのでしょうか」
須菩提答言。
所有色所有不二(不滅ならん)。所有受想行識所有不二(不滅ならん)。
須菩提が答えた。
「あらゆる物質的存在は、あらゆる滅することのないものであり、あらゆる感覚・知覚・意志・意識はあらゆる滅することのないものです。
是一切法皆不合不散無色無形無對一相所謂無相。
眼乃至一切種智亦如是。
一切の事物というものは皆な合することがなく、散ることがなく、物質的存在でなく、形でもなく、対するものもなく、一つの姿かたちであって、言い換えれば姿かたちがないということです。
眼から一切種智も、また同様です。
以是因故。舍利弗。色不二(不滅ならん)是非色。受想行識不二(不滅ならん)是非識。
乃至一切種智不二(不滅ならん)是非一切種智。

こういうわけで、舎利弗、物質的存在が滅するということがないということは物質的存在でなく。感覚・知覚・意志・意識が滅するということがないということは意識でなく、
さらに一切種智が滅するということがないということは一切種智でないのです」

舍利弗問須菩提。
何因
故。言是色入無二法數。受想行識入無二法數。
乃至一切種智入無二法數。
舎利弗が須菩提に質問した。
「どういうわけで、この物質的存在が二つではないという法数
(仏法の数)に入り、感覚・知覚・意志・意識が二つではないという法数に入り、
さらに一切種智が二つではないという法数に入ると言うのでしょうか」
須菩提答言。
色不異無生無生不異色。色即是無生無生即是色。

須菩提が答えた。
「物質的存在は生じたものでないということと異ならず、生じたものではないということは物質的存在であるということと異ならず、物質的存在はそのままで生じたものではなく、生じたものではないということはそのままで物質的存在なのです。

受想行識不異無生。無生不異識。識即是無生無生即是識。

感覚・知覚・意志・意識は生じたものではないということと異ならず、生じたものではないということは意識ということと異ならず、意識はそのままで生じたものではなく、生じたものではないということはそのままで意識なのです。

以是因故。舍利弗。色入無二法數。受想行識入無二法數。
乃至一切種智亦如是。
こういうわけで、舎利弗、物質的存在が二つではないという法数に入り、感覚・知覚・意志・意識が二つではないという法数に入り、
さらに一切種智もまた同様です」

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著作 アルキメデスの館