<<目次へ  <<戻る  訓読へ  次へ>>

 

摩訶般若波羅蜜経等空品第二十三(丹本作含受品)

五、ブッダ、摩訶衍は三世等と等しく認知できないことを説く

須菩提。汝所言是摩訶衍前際不可得後際不可得中際不可得。是衍名三世等。
以是故。
名摩訶衍。
須菩提、汝の言ったことは、この摩訶衍は過去世を認知できず、未来世も認知できず、現在世も認知できず、この〈摩訶〉衍を三世等と呼ぶ。
これにより摩訶衍と名づけるとのこと。
如是如是。 須菩提。是摩訶衍前際不可得後際不可得中際不可得。是衍名三世等。
以是故。
名摩訶衍。
そのとおりそのとおり、須菩提、この摩訶衍は過去世を認知できず、未来世も認知できず、現在世も認知できず、この〈摩訶〉衍を三世等と呼ぶ。
これにより、摩訶衍と名づけると説くのである。
何以故。
須菩提。過去世過去世空。未來世未來世空。現在世現在世空。三世等三世等空。摩訶衍摩訶衍空。菩薩菩薩空。
どうしてであろうか。
須菩提、過去世は過去世の空であり、未来世は未来世の空であり、現在世は現在世の空であり、三世等は三世等の空であり、摩訶衍は摩訶衍の空であり、菩薩は菩薩の空である。
何以故。
須菩提。是空非一非二非三非四非五非異。
以是故。
名三世等。
是菩薩摩訶薩摩訶衍。
どうしてであろうか。
須菩提、この空は一ではなく、二ではなく、三ではなく、四ではなく、五ではなく、異なるのでもないのである。
これにより、摩訶衍と名づけると説くのである。
これが菩薩摩訶薩の摩訶衍である。
是衍中等不等相不可得故。
染不染不可得。
瞋不瞋不可得
癡不癡不可得。
慢不慢不可得。
乃至一切善法不善法不可得。
この〈摩訶〉衍の中で等・不等の姿かたちは認知できないからである。
〈煩悩の〉染・不染は認知できず、
瞋・不瞋は認知できず、
痴・不痴は認知できず、
慢・不慢は認知できず、
乃至一切の善い事物・不善の事物は認知できない。
是衍中常不可得無常不可得。
樂不可得苦不可得。
實不可得空不可得。
我不可得無我不可得。
欲界不可得色界不可得無色界不可得。
度欲界不可得度色界不可得度無色界不可得。
この〈摩訶〉衍の中で常は認知できず、無常は認知できず、
楽は認知できず、苦は認知できず、
実は認知できず、空は認知できず、
我は認知できず、無我は認知できず、
欲の世界は認知できず、物質的存在の世界認知できず、物質的存在の無い世界は認知できず、
欲の世界を救い上げることは認知できず、物質的存在の世界を救い上げることは認知できず、物質的存在の無い世界を救い上げるは認知できない。
何以故。
是摩訶衍自法不可得故。
須菩提。過去色過去色空。未來現在色。未來現在色空。
どうしてであろうか。
この摩訶衍自らの事物は認知できないからである。
須菩提、過去の物質的存在は過去の物質的存在の空、未来・現在の物質的存在は未来・現在の物質的存在の空である。
過去受想行識。過去受想行識空。未來現在受想行識。未來現在受想行識空。
空中過去色不可得。
過去の感覚・知覚・意志・意識は過去の感覚・知覚・意志・意識の空、
未来・現在の感覚・知覚・意志・意識は未来・現在の感覚・知覚・意志・意識の空であり、
空の中で過去の物質的存在は認知できない。
何以故。
空中空亦不可得。
SAT版無『。』)何況空中過去色可得。空中未來現在色不可得。
どうしてであろうか。
空の中で空はまた認知できない。
何を、空の中で過去の物質的存在を認知できるというのだろうか。
空の中で未来、現在の物質的存在は認知できないのである。
何以故。
空中空亦不可得。何況空中未來現在色可得。空中過去受想行識不可得。
どうしてであろうか。
空の中で空はまた認知できない。
何を、空の中で未来・現在の物質的存在を認知できるというのだろうか。
空の中で過去の感覚・知覚・意志・意識は認知できないのである。
何以故。
空中空亦不可得。何況空中過去受想行識可得。空中未來現在受想行識不可得。
どうしてであろうか。
空の中で空はまた認知できない。
何を、空の中で過去の感覚・知覚・意志・意識を認知できるというのだろうか。
空の中で未来・現在の感覚・知覚・意志・意識は認知できないのである。
何以故。
空中空亦不可得。何況空中未來現在受想行識可得。
どうしてであろうか。
空の中で空はまた認知できない。
何を、空の中で未来・現在の感覚・知覚・意志・意識できるというのだろうか。
須菩提。過去檀那波羅蜜不可得。未來檀那波羅蜜不可得。現在檀那波羅蜜不可得。三世等中檀那波羅蜜亦不可得。 須菩提、過去の檀那波羅蜜は認知できず、未来の檀那波羅蜜も認知できず、現在の檀那波羅蜜認知もできない。三世等の中で檀那波羅蜜はまた認知できないのである。
何以故。
等中過去世不可得。未來世不可得。現在世不可得。等中等亦不可得。
どうしてであろうか。
等しい中で過去世は認知できず。未来世は認知できず。現在世も認知できない。等しい中等にまた認知できないのである。
何況等中過去世未來世現在世可得。尸羅波羅蜜提波羅蜜毘梨耶波羅蜜禪那波羅蜜般若波羅蜜亦如是。 何を等しい中で過去世・未来世・現在世認知できるというのだろうか。尸羅波羅蜜・提波羅蜜・毘梨耶波羅蜜・禅那波羅蜜・般若波羅蜜もまたそのとおりである。
復次須菩提。過去世中四念處不可得。乃至過去世中十八不共法不可得。未來世現在世亦如是。 また次に須菩提、過去世の中で四つの観行は認知できず、乃至過去世の中で十八の〈仏以外には〉具わらない事物を認知できないのである。未来世・現在世もまたそのとおりである。
復次須菩提。三世等中四念處不可得。三世等中乃至十八不共法亦不可得。 また次に須菩提、三世等の中で四つの観行は認知できず、三世等の中で乃至十八の〈仏以外には〉具わらない事物もまた認知できないのである。
何以故。
等中過去世四念處不可得。等中未來世四念處不可得。等中現在世四念處不可得。乃至十八不共法亦如是。等中等亦不可得。
どうしてであろうか。
等しい中で過去世の四つの観行は認知できず、等しい中で未来世の四つの観行は認知できず、等しい中で現在世の四つの観行は認知できない。
乃至十八の〈仏以外には〉具わらない事物もまたこのように、等しい中等にまた認知できない。
何況等中過去世四念處。未來現在世四念處可得。等中等亦不可得。
何況等中過去世乃至十八不共法可得。
何を、等しい中で過去世の四つの観行、未来・現在世の四つの観行を認知できるというのだろうか。等しい中等にまた認知できないのである。
何を、等しい中で過去世乃至十八の〈仏以外には〉具わらない事物を認知できるというのだろうか。
未來現在世乃至十八不共法SAT版有『。』)亦如是。 未来・現在世乃至十八の〈仏以外には〉具わらない事物もまたそのとおり。
復次須菩提。過去世凡夫人不可得。未來世現在世中凡夫人不可得。三世等中凡夫人亦不可得。 また次に須菩提、過去世に凡夫人を認知できず、未来世・現在世の中で凡夫人を認知できず、三世等の中で凡夫人また認知できないのである。
何以故。
生不可得。乃至知者見者不可得故。過去世中(『中』誤彫ならん)聲聞辟支佛菩薩佛不可得。未來(『世』欠字ならん)現在世。聲聞辟支佛菩薩佛不可得。三世等中聲聞辟支佛菩薩佛不可得。
どうしてであろうか。
衆生は認知できず、乃至知るということ・見るということも認知できないからである。過去世に声聞・辟支仏・菩薩・仏を認知できず、未来世・現在世に声聞・辟支仏・菩薩・仏を認知できず、三世等の中で声聞・辟支仏・菩薩・仏を認知できないのである。
何以故。
生不可得乃至知者見者不可得故。
どうしてであろうか。
衆生は認知できず、乃至知るということ・見るということは認知できないからである。
如是須菩提。菩薩摩訶薩住般若波羅蜜中。學三世等相。當具足一切種智。
是名菩薩摩訶薩摩訶衍。所謂三世等相。
このように須菩提、菩薩摩訶薩は般若波羅蜜の中に留まり、三世等の姿かたちを学び、まさに一切種智を具足すべきである。
これを菩薩摩訶薩の摩訶衍と呼ぶ。いわゆる三世等の姿かたちである。
菩薩摩訶薩住是衍中。勝一切世間及諸天人阿脩羅。成就薩婆若。 菩薩摩訶薩はこの〈摩訶〉衍の中に留まり、一切の世間及び諸々の天・人・阿修羅(アスラ、闘争的な悪神)に勝り、薩婆若(サルヴァジュニャーナ、一切智、すべてを概括的に把握する智慧)を成就するのである」
爾時須菩提白佛言。
世尊。善哉善哉。是菩薩摩訶薩摩訶衍。
その時須菩提が仏に申し上げた。
「世尊。よろしい、よろしい。これが菩薩摩訶薩の摩訶衍です。
何以故。
過去諸菩薩摩訶薩。是衍中學得一切種智。
どうしてでしょうか。
過去の諸々の菩薩摩訶薩は、この〈摩訶〉衍の中で学んで一切種智を得ました。
未來世(『世』誤彫ならん)諸菩薩摩訶薩。亦是衍中學當得一切種智。 未来の諸々の菩薩摩訶薩も、またこの〈摩訶〉衍の中で学んでまさに一切種智を得るべきです。
世尊。今十方無量阿僧祇國土中諸菩薩摩訶薩。亦是衍中學得一切種智。
以是故。世尊。是衍實是菩薩摩訶薩摩訶衍。
世尊。今十方の無量の阿僧祇の国土の中の諸々の菩薩摩訶薩は、またこの〈摩訶〉衍の中でんで一切種智を得るでしょう。
これにより、世尊。この〈摩訶〉衍は実にこれこそ菩薩摩訶薩の摩訶衍です」
佛告須菩提。
如是如是。過去未來現在諸佛是摩訶衍中學。已得一切種智。當得今得
仏が須菩提に説いた。
「そのとおりそのとおり。過去・未来・現在の諸々の仏は、この摩訶衍の中で学び、已に一切種智を得、まさに得べるきであり、今得たのである」
   

摩訶般若經卷第六

摩訶般若経巻第六

<<目次へ  <<戻る  訓読へ  次へ>>

 

 

 

 

 

著作 アルキメデスの館