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摩訶般若波羅蜜経勝出品第二十二

一、スブーティ、摩訶衍は一切の世間及び天・人・阿修羅の中に勝出することを説く

慧命須菩提白佛言。
世尊。摩訶衍摩訶衍者。勝出一切世間及諸天人阿修羅。
長老の須菩提(スブーティ)が仏に申し上げた。
「世尊。摩訶衍
(マハーヤーナ、大乗)といいますが、摩訶衍は一切の世間及び諸々の天・人・阿修羅(アスラ、闘争的な悪神)の中に勝出します。
世尊。是摩訶衍與空等。如空受無量無邊阿僧祇生。摩訶衍亦如是。受無量無邊阿僧祇生。 世尊。この摩訶衍と虚空は等しく、虚空が無量無辺の阿僧祇(アサンキャー、数えられないほどの大数)の衆生を受け入れるように、摩訶衍もまた同じように無量無辺の阿僧祇の衆生を受け入れるのです。
世尊。是摩訶衍不見來處不見去處不見住處。
是摩訶衍前際不可得後際不可得中際不可得。三世等是摩訶衍。
世尊。この摩訶衍は来た処も見えず、去る処も見えず、留まる処も見えません。
この摩訶衍は過去世も〈実体として〉認知できず、未来世も〈実体として〉認知できず、現在世も〈実体として〉認知できません。三世等しくこれこそ摩訶衍です。等空品第二十三(5)に詳述す)
世尊。以是故是乘名摩訶衍。
佛告須菩提。
世尊。こういうわけで、この乗を摩訶衍と名づけるのです」
仏は須菩提に説いた。
如是如是。菩薩摩訶薩摩訶衍。所謂六波羅蜜。檀那波羅蜜尸羅波羅蜜提波羅蜜毘梨耶波羅蜜禪那波羅蜜般若波羅蜜。
是名菩薩摩訶薩摩訶衍。
そのとおり、そのとおり。菩薩摩訶薩の摩訶衍とは、いわゆる六波羅蜜であり、檀那(ダーナ、布施)波羅蜜(パーラミター、到彼岸、〜の超越)・尸羅(シーラ、持戒)波羅蜜・(クシャーンティ、忍辱)波羅蜜・毘梨耶(ヴィーリャ、精進)波羅蜜・禅那(ディヤーナ、三昧)波羅蜜・般若(プラジニャー、智慧)波羅蜜である。
これを菩薩摩訶薩の摩訶衍と名づけるのである。
復次須菩提。菩薩摩訶薩摩訶衍。一切陀羅尼門。一切三昧門。所謂首楞嚴三昧。乃至離著空不染三昧。
是名菩薩摩訶薩摩訶衍。
また次に須菩提。菩薩摩訶薩の摩訶衍とは、一切の陀羅尼(ダーラニー、真理を護持する力、呪文にあらず)門、一切の三昧(サマーディー、瞑想)門、いわゆる首楞厳三昧(シューランガマ、堅固、迷いを摧破する勇猛な仏の三昧)、ないし虚空への執着を離れて染まらないという三昧である。
これを菩薩摩訶薩の摩訶衍と名づけるのである。
復次須菩提。菩薩摩訶薩摩訶衍。所謂空乃至無法有法空。
是名。(『。』誤彫)菩薩摩訶薩摩訶衍。
また次に須菩提。菩薩摩訶薩の摩訶衍とは、いわゆる内面の空ないし存在せず存在する事物の空(以上十八空)である。
これを菩薩摩訶薩の摩訶衍と名づけるのである。
復次須菩提。菩薩摩訶薩摩訶衍。所謂四念處乃至十八不共法。
是名菩薩摩訶薩摩訶衍。
また次に須菩提。菩薩摩訶薩の摩訶衍とは、いわゆる四つの観行ないし十八の〈仏以外には〉具わらない事物である。
これを菩薩摩訶薩の摩訶衍と名づけるのである。
如須菩提所言。是摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 須菩提のいうように、この摩訶衍は一切の世間及び天・人・阿修羅の中に勝出するのである。

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著作 アルキメデスの館