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摩訶般若波羅蜜経発趣品第二十

一.ブッダ、スブーティに菩薩摩訶薩の十地を概説する(二)

復次須菩提。菩薩摩訶薩住六地中當具足六法。
何等六。
所謂六波羅蜜。
復有六法所不應為。
何等六。
また次に須菩提。菩薩摩訶薩は第六の地位の中にあって、まさに六つの理法を具足すべきである。
何を六というのであろうか。

いわゆる六つの波羅蜜である。
また、まさに為すべきでない六つの理法がある。
何を六というのであろうか。
一者不作聲聞辟支佛意。
二者布施不應生憂心。
三者見有所索心不沒。
四者所有物布施。
五者布施之後心不悔。
六者不疑深法。
須菩提。是名菩薩摩訶薩住六地中。應滿具六法遠離六法。
一番目は声聞・辟支仏(プラティエーカ・ブッダ、独力で悟りながら他人に説かない小乗の聖者)の心を起こなさない。
二番目は布施にあたって、まさに憂う心を生じない。
三番目は求めるものがあるのに気づいても心は没しない。
四番目は持っている物を布施する。
五番目は布施した後で心は悔いない。
六番目は深法を疑わない。
須菩提。これを菩薩摩訶薩が第六の地位の中にあって、まさに六つの理法を満具し六つの事物を遠く離れると呼ぶのである。
復次須菩提。菩薩摩訶薩住七地中應遠離二十法所不應著。
何等二十。
一者不著我。
二者不著
生。
三者不著壽命。
四者不著
數乃至知者見者。
五者不著斷見。
六者不著常見。
七者不應作相。
八者不應作因見。
九者不著名色。
十者不著五陰。
また次に須菩提。菩薩摩訶薩は第七の地位の中にあって、まさに執着するべきでない二十の事物をまさに遠離すべきである。
何を二十というのであろうか。
一番目は我に執着しない。
二番目は衆生に執着しない。
三番目は寿命に執着しない。
四番目は衆数ないし知ること、見ることに執着しない。
五番目は断見に執着しない。
六番目は常見に執着しない。
七番目はまさに姿かたちを捉えてはいけない。
八番目はまさに因があるという見方をしてはいけない。
九番目は名称と姿かたちに執着しない。
十番目は〈人間の〉五つの構成要素に執着しない。
十一者不著十八界。
十二者不著十二入。
十三者不著三界。
十四者不作著處。
十五者不作所期處。
十六者不作依處。
十七者不著依佛見。
十八者不著依法見。
十九者不著依僧見。
二十者不著依戒見。
是二十法所不應著。
十一番目は十八界(十八の領域眼・耳・鼻・舌・身体・心、色・音・臭い・味・触・事物、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚・認知機能)に執着しない。
十二番目は十二入
(眼・耳・鼻・舌・身体・心、色・音・臭い・味・触・事物)に執着しない。
十三番目は三界に執着しない。
十四番目は執着するということをなさない。
十五番目はものごとを期待するということをしない。
十六番目は何かに依存するということをしない。
十七番目は仏に依存するということをしない。
十八番目は理法に依存するという見方をしない。
十九番目は教団に依存するという見方をしない。
二十番目は戒律に依存するという見方をしない。
これらが、まさに執着するべきでない二十の事物である。
復有二十法應具足滿。
何等二十。
一者具足空。
二者無相證。
三者知無作。
四者三分清淨。
五者一切
生中慈悲智具足。
六者不念一切
生。
七者一切法等觀。是中亦不著。
八者知諸法實相。是事亦不念。
九者無生法忍。
十者無生智。
また、まさに具足し満足すべき二十の理法がある。
何を二十というのであろうか。
一番目は空〈の理解〉を具足する。
二番目は姿かたちはないということを証する。
三番目は作られたものはないということを知る。
四番目は上の三つは清浄である。
五番目は一切衆生の中に慈悲と智慧を具足する。
六番目は一切の衆生を念じない。
七番目は一切の事物を等しく観じ、またこの中にもまた執着しない。
八番目は諸々の事物そのものが実際の姿かたちであると知り、この事をもまた念じない。
九番目は生じた事物はないと認識する。
十番目は生じた智慧はない〈と認識する〉。
十一者諸法一相。
十二者破分別相。
十三者轉憶想。
十四者轉見。
十五者轉煩惱。
十六者等定慧地。
十七者調意。
十八者心寂滅。
十九者無
智。
二十者不染愛。
須菩提。是名菩薩摩訶薩住七地中應具足二十法。
十一番目は諸々の事物は一つの姿かたちであることを説く。
十二番目は分別された姿かたちを破す。
十三番目は憶想を転ずる。
十四番目は見を転ずる。
十五番目は煩悩を転ずる。
十六番目は定と慧の地位を等しくする。
十七番目は心を調える。
十八番目は心を寂滅させる。
十九番目は妨げられることのない智慧。
二十番目は愛着に染まらない。
須菩提。これらを菩薩摩訶薩が第七の地位の中にあってまさに具足すべき二十の理法と呼ぶのである。
復次須菩提。菩薩摩訶薩住八地中應具足五法。
何等五。
順入
生心。
遊戲諸神通
見諸佛國。
如所見佛國自莊嚴其國。
如實觀佛身自莊嚴佛身。
是五法具足滿。
また次に須菩提。菩薩摩訶薩は第八の地位の中にあってまさに五つの理法を具足すべきである。
何を五というのであろうか。
衆生の心に順入する。
諸々の神通に遊戯する。
諸々の仏の国を見る。
目の当たりにする仏国であるかのように、自らその〈仏〉国を荘厳する。
現実であるかのように仏身を観じ、自ら仏身を荘厳する。
この五つの理法を具足し満たすのである。
復次須菩提。菩薩摩訶薩住八地中。復具足五法。
何等五。
知上下諸根。
淨佛國土。
入如幻三昧。
常入三昧
生所應善根受身。
須菩提。是為菩薩摩訶薩住八地中具足五法。
また次に須菩提。菩薩摩訶薩は第八の地位の中にあって、また五つの理法を具足すべきである。
何を五というのであろうか。
上下の諸々の根を知る。
仏国土を浄める。
幻のような三昧
(サマーディー、瞑想)に入る。
常しえに三昧に入っている。
衆生の応ずる所の善根に従い身を受ける。

須菩提。これを菩薩摩訶薩が第八の地位の中にあって五つの理法を具足すると呼ぶのである。
復次須菩提。菩薩摩訶薩住九地中應具足十二法。
何等十二。
また次に須菩提。菩薩摩訶薩は第九の地位の中にあってまさに十二つの理法を具足すべきである。
何を十二というのであろうか。
受無邊世界所度之分。
菩薩得如所願。
知諸天龍夜叉ノ闥婆語而為
法。
處胎成就家。
成就所生。
成就姓。
無辺の世界で、衆生を救うということの分担を引き受ける。
菩薩の請願すべき事を認知する。
諸々の天・龍・夜叉
(ヤクシャ、鬼神)・ノ闥婆(ガンダルヴァ、帝釈天に仕える音楽神)の言語を知って説法する。
胎まれた家を成就する。
生まれることを成就する。
姓〈を受けること〉を成就する。
成就眷屬。
成就出生。
成就出家。
成就莊嚴佛樹。
成就一切諸善
功コ成滿具足。
須菩提。是名菩薩摩訶薩住九地中應具足十二法。

眷属を成就する。
出生を成就する。
出家を成就する。
仏〈の悟りを開いた〉樹の荘厳を成就する。
一切の諸々の善を成就する。
功徳を成満し具足する。
須菩提。これを菩薩摩訶薩が第九の地位の中にあってまさに十二の理法を具足すべきであると呼ぶのである。

須菩提。十地菩薩當知如佛。 須菩提。第十の地位の菩薩はまさに仏の如くあることと知るべきである」

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著作 アルキメデスの館