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摩訶般若波羅蜜経弁才品第十五(丹本名為富楼那品)

九、プールナマイトラーヤニープトラ、菩薩摩訶薩が大乗に発趣して四無量心等を行ずることを説く

復次菩薩摩訶薩發趣大乘行慈心作是念。 また次に菩薩摩訶薩は大乗に発趣し、慈の心を行じ、次のように思います、
我當安樂一切生入悲心。
我當救濟一切
生入喜心
我當度一切
生入捨心
我當令一切
生得諸漏盡。
『私はまさに一切衆生を安楽にし、悲の心に入り、
私はまさに一切衆生を救済し、喜の心に入り、
私はまさに一切衆生を覚らせ、捨の心に入り、
私はまさに一切衆生に諸々の煩悩を尽きさせるべきである』
是名菩薩摩訶薩行無量心時檀那波羅蜜。 これを菩薩摩訶薩が〈四つの〉限りのない心を行じるときの檀那波羅蜜と名づけるのです。
復次菩薩摩訶薩是諸禪無量心。不向聲聞辟支佛地。但迴向薩婆若。
是名菩薩摩訶薩行無量心時尸羅波羅蜜。

また次に菩薩摩訶薩は、この諸々の禅の〈四つの〉限りのない心、声聞・辟支仏の境地に向かいません、ただ薩婆若に迴向します。
これを菩薩摩訶薩が無量心を行じるときの尸羅波羅蜜と名づけるのです。
復次舍利弗。菩薩摩訶薩行四無量心。不貪聲聞辟支佛地。但忍樂欲薩婆若。
是名菩薩摩訶薩行無量心時
提波羅蜜。
また次に舎利弗。菩薩摩訶薩は、四つの限りのない心を行じ、声聞・辟支仏の境地を貪らず、ただ薩婆若を忍び、楽い、欲します。
これを菩薩摩訶薩が〈四つの〉限りのない心を行じるときの
提波羅蜜と名づけるのです。
若菩薩摩訶薩應薩婆若心。行四無量心但行清淨行。
是名菩薩摩訶薩行無量心時毘梨耶波羅蜜。
もしくは菩薩摩訶薩は薩婆若に応じる心で、四つの限りのない心を行じ、ただ清浄の行を行じます。
これを菩薩摩訶薩が限りのない心を行じるときの毘梨耶波羅蜜と名づけるのです。
復次菩薩摩訶薩入SAT版有『。』)禪入無量心時。亦不隨禪無量心生。
是名菩薩摩訶薩行無量心時方便般若波羅蜜。
また次に菩薩摩訶薩が禅に入り、〈四つの〉限りのない心に入るとき、また禅に随って限りのない心を生じません。
これを菩薩摩訶薩が限りのない心を行じるときの方便般若波羅蜜と名づけるのです。
舍利弗。是名菩薩摩訶薩發趣大乘。 舎利弗。これを菩薩摩訶薩が大乗に発趣すると名づけるのです。
復次舍利弗。菩薩摩訶薩發趣大乘。
一切種修四念處。
乃至一切種修八聖道分。
一切種修三解
門。乃至十八不共法。
是名菩薩摩訶薩發趣大乘。
また次に舎利弗。菩薩摩訶薩は大乗に発趣し、
一切の種類の四つの観行を修し、
さらに一切の種類の八つの正しい道までを修し、
(三十七道品)
一切の種類の三つの解脫に到る門から十八の〈仏以外には〉具わらない事物までを修します。
これを菩薩摩訶薩が大乗に発趣すると名づけるのです。
復次舍利弗。菩薩摩訶薩空中智慧用無所得故。
乃至無法有法空中智慧用無所得故。
是名菩薩摩訶薩發趣大乘。
また次に舎利弗。菩薩摩訶薩は〈実体として〉認知することがないから、内面の空の中の智慧、
さらに〈実体として〉認知することがないから、存在せず存在する事物の空の中の智慧までがあります。
(十八空)
これを菩薩摩訶薩が大乗に発趣すると名づけるのです。
復次舍利弗。菩薩摩訶薩一切法中不亂不定智慧。
是名菩薩摩訶薩發趣大乘。
また次に舎利弗。菩薩摩訶薩は一切の事物の中に、乱れず定まらない智慧があります。
これを菩薩摩訶薩が大乗に発趣すると名づけるのです。
復次舍利弗。菩薩摩訶薩發趣大乘。非常非無常智慧。
非樂非苦非實非空非我非無我智慧。
是名菩薩摩訶薩發趣大乘。用無所得故。
また次に舎利弗。菩薩摩訶薩は大乗に発趣し、恒常ではなく・恒常でないのでもない智慧があり、
楽ではなく・苦でなく・実でなく・空でなく・自我でなく・自我でないのでもない智慧があります。
これを菩薩摩訶薩が大乗に発趣すると名づけるのです、〈実体として〉認知することがないからです。
復次舍利弗。菩薩摩訶薩智不行過去世。不行未來世。不行現在世
亦非不知三世。
是名菩薩摩訶薩發趣大乘。用無所得故。
また次に舎利弗。菩薩摩訶薩の智は過去世に行ぜず、未来世に行ぜず、現在世に行じないのです。
また三世を知らないのではありません。
これを菩薩摩訶薩が大乗に発趣すると名づけるのです、〈実体として〉認知することがないからです。
復次菩薩摩訶薩發趣大乘智不行欲界。不行色界。不行無色界。
亦非不知欲界色界無色界。用無所得故。
是名菩薩摩訶薩發趣大乘。
また次に菩薩摩訶薩は大乗に発趣し、智は欲界(欲望のある世界)に行ぜず、色界(物質の制約を逃れていない世界)に行ぜず、無色界(物質的執着のある世界)に行じないのです、
また欲界・色界・無色界
(三界)を知らないのではありません。〈実体として〉認知することがないからです。
これを菩薩摩訶薩が大乗に発趣すると名づけるのです。
復次菩薩摩訶薩發趣大乘智不行世間法。
不行出世間法。不行有為法。不行無為法。不行有漏法。不行無漏法。
亦非不知世間法出世間法。有為無為法有漏無漏法。用無所得故。
また次に菩薩摩訶薩は大乗に発趣し、智は世間の理法を行ぜず、世間を離れた理法を行じないのです、
因縁によって生滅変化する理法を行ぜず、生滅変化しない理法を行ぜず、煩悩のある理法を行ぜず、煩悩のない理法を行じないのです、
また世間の理法・世間を離れた理法、因縁によって生滅変化する・生滅変化しない理法・煩悩のある・煩悩のない理法を知らないのではありません。〈実体として〉認知することがないからです。
舍利弗。是名菩薩摩訶薩發趣大乘 舎利弗。これを菩薩摩訶薩が大乗に発趣すると名づけるのです」

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著作 アルキメデスの館