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摩訶般若波羅蜜経句義品第十二

四、記される事物・記されない事物、世間の事物・世間を脱出した事物とはどのようなものかを説く

何等記法。
若善法若不善法。
是名記法。
どのようなものが記される事物なのであろうか。
あるものは善である事物、あるものは善でない事物である。
これを記される事物と名づけるのである。
何等無記法。
無記身業口業意業。
無記四大。
無記五蔭
十二入
十八界。
無記報。
是名無記法。
どのようなものが記されない事物なのであろうか。
記されない身体による行為・言葉による行為・心による行為
(三業)
記されない四大
(四つの物質の構成要素、地・水・火・風)
記されない五蔭
(五蘊、物質的存在・感覚・知覚・意志・意識)
十二入
(六根+六境:眼・耳・鼻・舌・身体・心、色・音・臭い・味・触・事物)
十八界
(十二入+六識:視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚・認知機能)
記されない〈行為に対する〉報いである。
これを記されない事物と名づける。

何等名世間法。
世間法者。
五蔭十二入十八界。
十善道。
四禪四無量心
四無色定。

どのようなものが世間の事物と名づけられるのであろうか。
世間の事物とは、
五蔭・十二入・十八界、
十の善道、
四つの禅・四つの限りのない心・
四つの物質的存在のないことの瞑想である。

是名世間法。
何等名出世間法。
これを世間の事物と名づけるのである。
どのようなものが世間を脱出した事物と名づけられるのであろうか。
四念處四正懃四如意足
五根五力
七覺分八聖道分。
四つの観行・四つの正しい勤め・四つの神秘的の能力・
〈覚りを得るための〉五能力・五つの能力・
七つの覚りの要素・八つの正しい道、
空解門。
無相解
門。
無作解
門。
空という解脱門・
姿かたちがないという解脱門・
作為がないという解脱門(三解脱門)
(以上、三十七道品)
三無漏根。未知欲知根。知根。知已根。 三つの煩悩のない感覚、『知る欲が未知である感覚・
知る感覚・
知り己った感覚』
三三昧。有覺有觀三昧。
SAT版『。』無)無覺有觀三昧。
無覺無觀三昧。

三つの三昧、『覚りがあり観ずることがある瞑想・
覚りはなく観ずることがある瞑想・
覚りもなく観ずることもない瞑想』、

明解念慧正憶 明らかな解脱、念(十念)・慧(十一智)、正しい憶い、
八背捨。
何等八
色觀色是初背捨。
無色相外觀色。是二背捨。
八つの背捨(瞑想による解脱)
どういうことが八なのであろうか。

物質的存在に物質的存在を観る、これが初背捨、

内に物質的存在の姿かたちなく外に物質的存在を観る、これが二背捨、
淨背捨身作證。是三背捨。
過一切色相故。
滅有對相故。
一切異相不念故。
入無邊
空處。是四背捨。
過一切無邊
空處。入一切無邊識處。是五背捨。
浄らかな背捨の身にて証をなす、これが三背捨、
一切の物質的存在の姿かたちを過ぎるから、
対象のあるものの姿かたちを滅するから、
一切の異なる姿かたちを念じないから、
無辺虚空処に入る、これが四背捨、
一切の無辺虚空処を過ぎ、一切の無辺識処に入る、これが五背捨、
過一切無邊識處。入無所有處。是六背捨。
過一切無所有處。入非有想非無想處。是七背捨。
過一切非有想非無想處。入滅受想定。是八背捨。
一切の無辺識処を過ぎ、無所有処に入る、これが六背捨、
一切の無所有処を過ぎ、非有想非無想処に入る、これが七背捨、
一切の非有想非無想処を過ぎ、想いを感じることを滅する瞑想に入る、これが八背捨である。
九次第定。
何等九。
離欲離惡不善法有覺有觀。
離生喜樂。入初禪。
滅諸覺觀
清淨故。
一心無覺無觀定生喜樂。入第二禪。
九次第の瞑想、
どういうことが九なのであろうか。
欲を離れ、悪・不善の事物を離れ、 覚りがあり観ずることがあり、
生を離れる喜楽があって、初禅に入る。
諸々の覚り・観想を滅して、自己の内部は清浄であるから、
一心であり、覚りがなく、観想がなく、生に安定する喜楽があって、第二禅に入る。
離喜故行捨受身樂。
聖人能
能捨念行樂。入第三禪。
斷苦樂故。先滅憂喜故。
不苦不樂捨念淨。入第四禪。
喜を離れるから捨を行じ、身に楽を受け、
聖人は説くことができ、念を捨て楽に行ずることができ、第三禅に入る。
苦・楽を断ずるから、先に憂・喜を滅するから、
苦でなく、楽でなく、念を捨てて浄くなり、第四禅に入る。
過一切色相故。
滅有對相故。
一切異相不念故。
入無邊
空處。
過一切無邊
空處。入無邊識處。
一切の物質的存在の姿かたちを過ぎるから、
対するものの姿かたちを滅するから、
一切の異なる姿かたちを念ずることがないから、
無辺虚空処に入る。(第五禅)
一切の無辺虚空処を過ぎ、無辺識処に入る。(第六禅)

過一切無邊識處。入無所有處。
過一切無所有處。入非有想非無想處。
過一切非有想非無想處。入滅受想定。

一切の無辺識処を過ぎ、無所有処に入る。(第七禅)
一切の無所有処を過ぎ、非有想非無想処に入る。(第八禅)
一切の非有想非無想処を過ぎ、想いの受を滅する瞑想に入る。(第九禅)
復有出世間法。
空乃至無法有法空。
佛十力四無所畏。
四無礙智。
十八不共法一切智。
是名出世間法。
ほかにも世間を脱出した事物がある。
内面の空から存在せず存在する事物の空まで、
仏の十力、四無所畏、
四無礙智、
十八の〈仏以外には〉具わらない事物、一切智、
これを世間を脱出した事物と名づけるのである。

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著作 アルキメデスの館