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摩訶般若波羅蜜経三仮品第七

三、スブーティ、言葉が菩薩でないことを説明する

須菩提。於汝意云何。
色是菩薩不。
受想行識是菩薩不。
不也世尊。
須菩提、汝はどう思うか。
物質的存在が菩薩であるか、そうではないか。
感覚・知覚・意志・意識が菩薩であるか、そうではないか」
「そうではありません、世尊」
眼耳鼻舌身意是菩薩不。
不也世尊。
「眼・耳・鼻・舌・身体・心が菩薩であるか、そうではないか」
「そうではありません、世尊」
色聲香味觸法是菩薩不。
不也世尊。
「色・音・臭い・味・触・事物が菩薩であるか、そうではないか」
「そうではありません、世尊」
眼識乃至意識是菩薩不。
不也世尊。
「視覚から認知機能までが菩薩であるか、そうではないか」
「そうではありません、世尊」
須菩提。於汝意云何。
地種是菩薩不。
不也世尊。
水火風空識種是菩薩不。
不也世尊。
「須菩提、汝はどう思うか。
地の種が菩薩であるか、そうではないか」
「そうではありません、世尊」
「水・火・風・空・識・の種が菩薩であるか、そうではないか」(六大)
「そうではありません、世尊」
於須菩提意云何。
無明是菩薩不。
不也世尊。
乃至老死是菩薩不。
不也世尊。
「須菩提はどう思うか。
無明が菩薩であるか、そうではないか」
「そうではありません、世尊」
「さらには老・死までが菩薩であるか、そうではないか」
「そうではありません、世尊」
於須菩提意云何。
離色
離受想行識乃至離老死是菩薩不。
不也世尊。

「須菩提はどう思うか。
物質的存在を離れ、
感覚・知覚・意志・意識を離れ、
さらには老・死までを離れるのが菩薩であるか、そうではないか」
「そうではありません、世尊」

須菩提於汝意云何。
色如相是菩薩不。
不也世尊。
乃至老死如相是菩薩不。
不也世尊。
「須菩提、汝はどう思うか。
物質的存在のようなものが菩薩であるか、そうではないか」
「そうではありません、世尊」
「さらには老・死までのようなものが菩薩であるか、そうではないか」
「そうではありません、世尊」
離色如相乃至離老死如相是菩薩不。
不也世尊。
「物質的存在を離れたような姿かたち、
さらには老・死を離れたような姿かたちまでが菩薩であるか、そうではないか」
「そうではありません、世尊」
佛告須菩提。
汝觀何等義。
言色非菩薩。
乃至老死非菩薩。
離色非菩薩。
乃至離老死非菩薩。
仏は須菩提に次のように説いた。
「汝はどのような理由によって、
物質的存在が菩薩ではなく、
さらには老・死までが菩薩ではない、
物質的存在から離れるのが菩薩ではなく、
さらには老・死までから離れるのが菩薩ではない、
色如相非菩薩。
乃至老死如相非菩薩。
離色如相非菩薩。
乃至離老死如相非菩薩。
物質的存在のようなものが菩薩ではなく、
さらには老・死までのようなものが菩薩ではない、
物質的存在から離れるのが菩薩ではなく、
さらには老・死までから離れるのが菩薩ではないと言うのか」
須菩提言。
世尊。
生畢竟不可得。
何況當是菩薩。
須菩提が答えた。
「世尊。衆生は究極的に〈実体として〉認知することはできません。
何が、まさに、これこそ菩薩であるといえるのでしょうか。
色不可得。
何況色離色。
色如離色如。
是菩薩。
物質的存在は認知することはできません。
何が、物質的存在と、物質的存在から離れることと、
物質的存在のようなことと、物質的存在のようなことから離れることと、
これこそ菩薩であるといえるのでしょうか。
乃至老死不可得。
何況老死離老死。
老死如離老死如。
是菩薩。
さらには老・死までは〈実体として〉認知することはできません。
何が、老・死と老・死を離れること、
老・死のようなものと、
老・死のようなものを離れること、
これこそ菩薩であるといえるのでしょうか」
佛告須菩提。
善哉善哉。如是須菩提。
菩薩摩訶薩
生不可得故。
般若波羅蜜亦不可得。
當作是學。

仏は、須菩提に次のように説いた。
「よろしい、よろしい。その通りである、須菩提。
菩薩摩訶薩は衆生が〈実体として〉認知することができないから、
般若波羅蜜もまた〈実体として〉認知できないのである。
まさにこれを学ぶべきである。

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著作 アルキメデスの館