<<目次へ  <<戻る  訓読へ  次へ>>

 

摩訶般若波羅蜜経往生品第四

二、ブッダ、菩薩摩訶薩のあり方を説く

佛告舍利弗。
一切阿羅漢辟支佛果及智。是菩薩摩訶薩無生法忍。
仏は舎利弗に次のように説いた。
「一切の阿羅漢・辟支仏の果報及び智慧は、これこそ菩薩摩訶薩の無生法忍
(生じる事物は無いこと即ち空の認識)である。
舍利弗是菩薩摩訶薩。如是行般若波羅蜜。當知是阿惟越致地中住。 舎利弗、この菩薩摩訶薩が、このように般若波羅蜜を行ずるのは、まさにこれは阿惟越致の境地中に留まることだと知るべきである。
舍利弗。有菩薩摩訶薩住六波羅蜜。莊嚴兜率天道。當知是賢劫中菩薩。 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、六波羅蜜に留まり、兜率天への道を荘厳する、これこそ賢れる(千人ものブッダの存在する)現世の中の菩薩と知るべきである。
舍利弗。有菩薩摩訶薩修四禪乃至十八不共法。未證四諦。當知是菩薩一生補處。

舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、四禅から十八の〈仏以外には〉具わらない事物を修しても、未だ四つの真理(苦・集・滅・道)を証さない、まさにこれこそ菩薩が〈仏滅後を〉補う所にいるということだと知るべきである。

舍利弗。有菩薩摩訶薩無量阿僧祇劫修行得阿耨多羅三藐三菩提。 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、無量阿僧祇劫にわたって修行し、阿耨多羅三藐三菩提を得たことを自覚する。
舍利弗。有菩薩摩訶薩住六波羅蜜。常懃精進利益生。不無益之事。 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、六波羅蜜に留まり、常に懃ろに精進し衆生を利益し、無益の事を説かない。
舍利弗。有菩薩摩訶薩行六波羅蜜。常懃精進利益生。從一佛國至一佛國。斷生三惡道。 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、六波羅蜜を行じ、常に懃ろに精進し衆生を利益し、ある仏のいる世界よりある仏のいる世界へと至り、衆生の三悪道を断つ。
舍利弗。有菩薩摩訶薩住六波羅蜜。以檀那爲首安樂一切生。須飲食與飲食。衣服臥具瓔珞花香房舍燈燭。隨人所須盡給與之。 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、六波羅蜜に留まり、檀那(ダーナ、布施)を以てしるしとし、一切衆生を安楽にし、飲食を求められれば飲食を与え、衣服・臥具・瓔珞・花香・房舎・灯燭、求める人がいれば尽くこれを給与する。
舍利弗。有菩薩摩訶薩行般若波羅蜜時。變身如佛爲地獄中法。爲畜生餓鬼中法。 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、般若波羅蜜を行ずる時、仏のように身を変じて、地獄の中の衆生のために法を説き、畜生・餓鬼〈界〉の中の衆生のために法を説く
舍利弗。有菩薩摩訶薩行六波羅蜜時變身如佛。遍至十方如恒河沙等諸佛國土。爲法。亦供養諸佛及淨佛國土。聞諸佛法。觀採十方淨妙國相。而已自起殊勝國土。
其中菩薩摩訶薩。皆是一生補處。
舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、六波羅蜜を行ずる時、仏のように身を変じて、遍く十方のガンジス川の沙ほどもある諸仏の国土に至り、衆生のために法を説き、また諸仏を供養し及び仏のいる世界を浄め、諸仏が法を説くのを聞き、十方の浄妙の国の有り方を観て採用して、後に自から殊に勝れた国土を起こす。
その中の菩薩摩訶薩は、みなこれこそ〈仏滅後を〉補う所にあるである。
舍利弗。有菩薩摩訶薩行六波羅蜜時。成就三十二相諸根淨利。諸根淨利故。人愛敬。以愛敬故漸以三乘法而度之。 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、六波羅蜜を行ずる時、三十二の相好と諸感覚器官の浄めと利益を成し遂げ、諸感覚器官が浄く利益あるので人は愛敬し、愛敬があることにより彼らを救い上げる。
如是舍利弗。菩薩摩訶薩行般若波羅蜜時。應學身清淨口清淨。 このように舎利弗、菩薩摩訶薩が般若波羅蜜を行ずる時、まさに身の清浄・口の清浄を学ぶべきである。
舍利弗。有菩薩摩訶薩行六波羅蜜時得諸根淨。以是淨根而不自高亦不下他。 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、六波羅蜜を行ずる時、諸感覚器官の浄さを得、この浄い感覚器官で自らを高くおかず、また他を下におかない。
舍利弗。有菩薩摩訶薩從初發心。住檀那波羅蜜尸羅波羅蜜乃至阿惟越致地。終不墮三惡道。 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、初発心より、檀那波羅蜜・尸羅(シーラ、持戒)波羅蜜から阿惟越致の境地に留まり、最後まで三悪道に堕ちない。
舍利弗。有菩薩摩訶薩。從初發心乃至阿惟越致地。常不捨十善行。 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、初発心から阿惟越致の境地にまで至り、常に十の善行を捨てない。
舍利弗。有菩薩摩訶薩。住檀那波羅蜜尸羅波羅蜜中。作轉輪聖王。安立生於十善道。亦以財物布施生。 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、檀那波羅蜜・尸羅波羅蜜の中に留まり、転輪聖王(三十二相・七宝を具え世界を正義で治める理想の王)となり、衆生を十善の道にしっかりと立たせ、また財物を衆生に布施する。
舍利弗。有菩薩摩訶薩。住檀那波羅蜜尸羅波羅蜜。無量千萬世作轉輪聖王。値遇無量百千諸佛。供養恭敬尊重讚歎。 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、檀那波羅蜜・尸羅波羅蜜の中に留まり、無量の千・万の世で転輪聖王となり、無量の百・千の諸仏に出会い、供養・恭敬・尊重・讚歎する。
舍利弗。有菩薩摩訶薩。常爲生以法照明。亦以自照乃至阿耨多羅三藐三菩提。終不離照明。 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、常に衆生のために仏の教えで照明し、また自らをも照らし、さらに阿耨多羅三藐三菩提にまで至り、終に照明を離れない。
舍利弗。是菩薩摩訶薩。於佛法中已得尊重。 舎利弗、この菩薩摩訶薩は、仏の理法の中で已に尊重を得ているのである。
舍利弗。以是故菩薩摩訶薩行般若波羅蜜時。身口意不淨不令妄起。

舎利弗、これによって菩薩摩訶薩が般若波羅蜜を行ずる時、身・口・意(人間の行為)の不浄を妄起させないのである」

<<目次へ  <<戻る  訓読へ  次へ>>

 

 

 

 

 

著作 アルキメデスの館