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摩訶般若波羅蜜経序品第一

十、力を得る為に般若波羅蜜を学ぶべきことを説く

復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲數知三千大千國土中大地諸山微塵。當學般若波羅蜜。
また次に舍利弗。菩薩摩訶薩が三千大千国土の中の大地・諸山の微塵を数え知りたいなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。
菩薩摩訶薩析一毛爲百分。欲以一分毛盡舉三千大千國土中大海江河池泉諸水而不嬈水性。當學般若波羅蜜。 菩薩摩訶薩が一本の毛を切り分けて百分割し、その一分の毛片によって悉く三千大千国土の中の大海・江・河・池・泉の諸水を列挙して、しかも水の本性を掻き乱すまいと欲するなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。
三千大千國土中諸火一時皆然譬如劫盡燒時。菩薩摩訶薩欲一吹令滅者。當學般若波羅蜜。 三千大千国土の中の諸々の火が一時にみな燃え、仮に〈この世界の〉寿命が尽きて焼け落ちる時がきても、菩薩摩訶薩がひと吹きで消したいなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。
三千大千國土中諸大風起。欲吹破三千大千國土及諸須彌山如摧腐草。菩薩摩訶薩欲以一指障其風力令不起者。當學般若波羅蜜。
三千大千国土の中に諸々の大風が起こり、三千大千国土及び諸々の須弥山(シュメール)を、腐草をくだくように吹破しそうになっても、菩薩摩訶薩が指一本でその風力をさえぎり起こらないようにしたいなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。
菩薩摩訶薩欲一結跏趺坐。遍滿三千大千國土空。當學般若波羅蜜。 菩薩摩訶薩が結跏趺坐したとき、三千大千国土の虚空に遍満したいなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。
菩薩摩訶薩欲以一毛舉三千大千國土中諸須彌山王。擲過他方無量阿僧祇諸佛國土不嬈生。欲以一食供養十方各如恒河沙等諸佛及僧。當學般若波羅蜜。 菩薩摩訶薩が一本の毛によって三千大千国土の中の諸々の須弥山の王を持ち上げ、他方の無量阿僧祇(アサンキャ:数えられないほどの大数)の諸々の仏の国土に放り投げたとしても、衆生を乱さないようにし、また一食によって十方の各々のガンジス川の沙の数ほどもある諸々の仏及び教団を供養したいなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。
欲以一衣花香瓔珞末香塗香燒香燈燭幢幡花蓋等。供養諸佛及僧。當學般若波羅蜜。 さらに一着の衣・花香・瓔珞(首飾り)・末香・塗香・焼香・灯燭・幢幡(はた)・花蓋等によって諸々の仏及び教団を供養したいなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。
復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲使十方各如恒河沙等國土中生。悉具於戒三昧智慧解知見。令得須陀洹果斯陀含果阿那含果阿羅漢果。乃至令得無餘涅槃。當學般若波羅蜜。 また次に舍利弗。菩薩摩訶薩が十方の各々のガンジス川の沙の数ほどもある国土の中の衆生をして、ことごとく戒め・瞑想・智慧・解脱・自らが解脱したことを認知する見解を持たせ、須陀洹(スロータアーパンナ、小乗仏教修行の第一の階梯)の果報・斯陀含(サクリダーガーミー、第二の階梯)の果報・阿那含(アナーガーミー、第三の階梯)の果報・阿羅漢(アルハン、小乗仏教修行者の最高位)の果報を得させ、さらに余すもののない涅槃(すべての精神的かつ肉体的な解脱の総合状態)に至るまでを得させたいなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。

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著作 アルキメデスの館