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摩訶般若波羅蜜経序品第一

五、諸国土の菩薩摩訶薩ブッダに詣でる

是時東方過如恒河沙等諸佛國土。其國最在邊國名多寶。佛號寶積。今現在爲諸菩薩摩訶薩般若波羅蜜。
彼國有菩薩名曰普明。見大光明見地大動又見佛身。到寶積佛所白佛言。
この時東方にガンジス川の沙の数ほどもある諸仏の国土を過ぎ、その〈釈迦牟尼仏教化の〉最在辺の地に多宝という国があった。そこには宝積という名の仏がいて、今まさに、諸々の菩薩摩訶薩のために般若波羅蜜(プラジニャー:智慧+パーラミター:到彼岸、智慧の超越)を説いているところであった。
その国に普明という名の菩薩がいて、大光明を見、地が大動するのを見、また仏身を見て、宝積仏の所に詣でて、仏に申し上げた。
世尊。今何因。有此光明照於世間地大震動又見佛身。
寶積佛報普明言。
善男子。西方度如恒河沙等國。有世界名娑婆。佛號釋迦牟尼。今現在欲爲諸菩薩摩訶薩
般若波羅蜜。是其神力。
「世尊よ、今何の因縁でこの光明が世間を照らし、地は大震動し、また仏身が見えたのでしょうか」
宝積仏は普明に答えた。
「善男子よ、西方にガンジス川の沙の数ほどもある国を渡ると、娑婆(サハー、堪忍世界)とよばれる世界があり、釈迦牟尼という仏がいる。ちょうど今、諸々の菩薩摩訶薩のために般若波羅蜜を説こうとしている。これはその神力の顕れなのだ」
是時普明菩薩白寶積佛言。
世尊。我今當往見釋迦牟尼佛禮拜供養。及見彼諸菩薩摩訶薩紹尊位者。皆得陀羅尼及諸三昧。於諸三昧而得自在。
すると普明菩薩が宝積仏に申し上げた。
「世尊よ、私は今すぐに行って釈迦牟尼仏に詣でて礼拝供養し、そして向こうの世界の諸々の菩薩摩訶薩、〈ブッダの〉尊位を継承するものが、みな陀羅尼及び諸々の三昧を得、諸々の三昧の自在を得るのを見たいと思います」
佛告普明。
欲往隨意宜知是時。
仏は普明に次のように説いた。
「行きたいと願うなら、心に従うがよい、その時であるということをよろしく知るがよい」
爾時寶積佛。以千葉金色蓮花與普明菩薩。而告之曰。
善男子。汝以此花散釋迦牟尼佛上。生彼娑婆國中諸菩薩難勝難及。汝當一心以遊彼國。
そのとき宝積仏は、千葉金色の蓮花を普明菩薩に与え、そしてこのように次のように説いた。
「善男子よ、お前はこの花を釈迦牟尼仏の上に散じなさい。かの娑婆国の中に生れた諸々の菩薩には勝ち難く及び難いことだろう。おまえがあの国に行って、一心に活動してきなさい」。
爾時普明菩薩從寶積佛受千葉金色光明蓮花。與無數出家在家菩薩及諸童男童女。共發引皆供養恭敬尊重讚歎東方諸佛。持諸花香瓔珞澤香末香塗香衣服幢蓋。 そのとき普明菩薩は、宝積仏から千葉金色光明蓮花を受けとり、無数の出家・在家の菩薩及び諸々の童男・童女に与え、みな東方の諸仏を供養・恭敬・尊重・讃歎しようと、ともに諸々の花香・瓔珞・沢香・末香・塗香・衣服・幢蓋を持って運びながら、釈迦牟尼仏の所に向かった。
向釋迦牟尼佛所。到已頭面禮佛足一面立白佛言。
世尊。寶積如來致問。世尊少惱少患起居輕利氣力安樂不。又以此千葉金色蓮花供養世尊。
到着すると、頭面で仏足を礼したのち一面に立ち、仏に申し上げた。
「世尊よ、宝積如来からのご挨拶を申し上げます、世尊よ、少悩・少患・起居軽利・気力安楽であられますでしょうか。また、この千葉金色の蓮花によって世尊を供養いたします」
爾時釋迦牟尼佛受是千葉金色蓮花。以散東方如恒河沙等諸國土中。佛所散寶花滿東方如恒河沙等諸佛國土。一一花上皆有菩薩。結跏趺坐六波羅蜜。聞此法者必至阿耨多羅三藐三菩提。 そのとき釈迦牟尼仏は、この千葉金色の蓮花を受けとり、それを東方のガンジス川の沙の数ほどもある諸国土の中に散じた。仏の散じた宝花は、東方のガンジス川の沙の数ほどもある諸仏の国土に満ち、一つ一つの花の上にはみな菩薩がいて、結跏趺坐して六波羅蜜を説いている。この法を聞く者は、必ず阿耨多羅三藐三菩提に至るであろう。
諸出家在家菩薩及諸童男童女。頭面禮釋迦牟尼佛足各以供養具。供養恭敬尊重讚歎釋迦牟尼佛。是諸出家在家菩薩及諸童男童女。各各以善根福コ力故。得供養釋迦牟尼佛多陀阿伽度阿羅訶三藐三佛陀。 諸々の出家・在家・菩薩及び諸々の童男・童女は、頭面で釈迦牟尼仏の足を礼し、各々供養のために持ってきたものによって釈迦牟尼仏を供養・恭敬・尊重・讃歎した。この諸々の出家・在家の菩薩及び諸童男・童女は、各々善根と福徳力があったため、釈迦牟尼仏・多陀阿伽度・阿羅訶・三藐三仏陀(タターガタ:如来、アルハン:応供、サムャクサンブッダ:正智、ともにブッダの異称)を供養することができたのであった。
南方度如恒河沙等諸佛國土。其國最在邊國名離一切憂。佛號無憂コ。菩薩名離憂。 南方にガンジス川の沙の数ほどもある諸仏の国土を過ぎたところの、その国最在辺の地には離一切憂という国があり、無憂徳という名の仏がいて、離憂という名の菩薩がいた。
西方度如恒河沙等諸佛國土。其國最在邊國名滅惡。佛號寶山。菩薩名儀意。 西方にガンジス川の沙の数ほどもある諸仏の国土を過ぎたところの、その国最在辺の地には滅悪という国があり、宝山という名の仏がいて、儀意という名の菩薩がいた。
北方度如恒河沙等諸佛國土。其國最在邊國名勝。佛號勝王。菩薩名コ勝。 北方にガンジス川の沙の数ほどもある諸仏の国土を過ぎたところの、その国最在辺の地には勝という国があり、勝王という名の仏がいて、徳勝という名の菩薩がいた。
下方度如恒河沙等諸佛國土。其國最在邊國名善。佛號善コ。菩薩名花上。 下方にガンジス川の沙の数ほどもある諸仏の国土を過ぎたところの、その国最在辺の地には善という国があり、善徳という名の仏がいて、花上という名の菩薩がいた。
上方度如恒河沙等諸佛國土。其國最在邊國名喜。佛號喜コ。菩薩名コ喜。
如是一切皆如東方。
上方にガンジス川の沙の数ほどもある諸仏の国土を過ぎたところの、その国最在辺の地には喜という国があり、喜徳という名の仏がいて、徳喜という名の菩薩がいた。
これらは一切みな東方と同じようであった。

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著作 アルキメデスの館