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摩訶般若波羅蜜経序品第一

二、ブッダ瞑想に入り光明を発す

爾時世尊自敷師子座結跏趺坐直身繫念在前。入三昧王三昧一切三昧悉入其中。

そのとき世尊は自ら師子座(仏は獅子に譬えられる)を敷き、結跏趺坐(右足を左の腿に、左足を右の腿の上において坐る)し、姿勢を正し、心をかたむけて正面を向いて、一切の三昧が悉くその中に含まれるとされる三昧王三昧に入った。

是時世尊。從三昧安詳而起。以天眼觀視世界舉身微笑。從足下千輻相輪中。放六百萬億光明。 この時世尊は三昧から安らかに、こまやかにして起ち、天眼(六神通の一)によって世界を観視し、身を挙げて微笑し、足の裏の千輻輪相(千本のスポーク状の文様)の中から六百万億の光明を放った。
足十指兩踝兩[跳−兆+甫/寸]兩膝兩髀腰脊腹脅背臍心胸コ字。肩臂手十指。項口四十齒。鼻兩孔。兩眼兩耳。白毫相肉髻。各各放六百萬億光明。 足の十指、両くるぶし、両ふくらはぎ、両ひざ、両もも、腰背、腹脇、背臍、心胸、徳字(胸の卍文様)、腕、手の十指、項口、四十本の歯、両鼻孔、両眼、両耳、白毫相(仏眉間の、右に廻りつつ発光する毛)、肉髻(仏頭頂部の盛り上がり)の各々から六百万億の光明を放った。
從是諸光出大光明。遍照三千大千國土。從三千大千國土。遍照東力如恒河沙等諸佛國土。南西北方四維上下亦復如是。 この発光は大光明となり、遍く三千大千国土を照らし、三千大千国土から遍く東方のガンジス川の沙ほどもある諸仏の国土を照らした。南西北方四維上下もまたまた同様であった。
若有生遇斯光者。必得阿耨多羅三藐三菩提。
光明出過東方如恒河沙等諸佛國土。南西北方四維上下亦復如是。

もし衆生あってこの光に遇う者は、必ず阿耨多羅三藐三菩提(アヌッタラサムャクサンボーディ、最上にして普遍的の覚り)〈の境地〉を得るであろう。
光明は東方のガンジス川の沙ほどもある諸仏の国土にまで到り、南西北方四維上下もまた同様であった。

爾時世尊舉身毛孔。皆亦微笑而放諸光。遍照三千大千國土。復至十方如恒河沙等諸佛國土。若有生遇斯光者。必得阿耨多羅三藐三菩提。

そのとき世尊は身と毛と孔とを挙げて皆また微笑み、そして諸光を放ち、遍く三千大千国土を照らし、また十方のガンジス川の沙ほどもある諸仏の国土に至った。もし衆生あってこの光に遇う者は、必ず阿耨多羅三藐三菩提〈の境地〉を得るであろう。

爾時世尊以常光明。遍照三千大千國土。
亦至東方如恒河沙等諸佛國土。
乃至十方亦復如是。
若有生遇斯光者。必得阿耨多羅三藐三菩提。
そのとき世尊はとこしえの光明によって、遍く三千大千国土を照らし、
また東方のガンジス川の沙ほどもある諸仏の国土にまで至った。
また十方の他の方向までもまた同様であった。
もし衆生あってこの光に遇う者は、必ず阿耨多羅三藐三菩提〈の境地〉を得るであろう。
爾時世尊出廣長舌相。遍覆三千大千國土熈怡微笑。
從其舌根放無量千萬億光。是一一光化成千葉金色寶花。
是諸花上皆有化佛。結跏趺坐
六波羅蜜。
そのとき世尊は広長の舌相を出して、三千大千国土を覆って和やかに悦び微笑した。
その舌根より無量千万億の光を放ち、この一つ一つの光は変化して千葉の金色の宝花となった。
この諸々の花の上にはそれぞれ、さまざまな姿となって現れた仏がいて、結跏趺坐して六波羅蜜を説いている。
生聞者必得阿耨多羅三藐三菩提。復至十方如恒河沙等諸佛國土皆亦如是。 これを聞く衆生は必ず阿耨多羅三藐三菩提を得たことを自覚するであろう。また十方それぞれのガンジス川の沙ほどもある諸仏の国土に至るまでみな、また同様であった。

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著作 アルキメデスの館