パチモン三国志 

パチモン版三国志

このDVDボックスは、正規のものであれば未だに人気が失せない『三国演義』である。販売者は「中国正規版」と宣伝していたが、実は中国製テレビドラマのくせに中国製のパチモン製品である、という興味深い事例である。遡れば1991年に中国の国家事業(?)として製作開始され、1994年からテレビ放映が開始され、我が日本では1995年に某国営放送局で日本語吹き替え版が放映された。(これは現在幻の吹き替え版とされているらしい)その後、はっきりした年代は不明だが日本ではコニービデオ株式会社(1994年設立、2014年破産)からカセットビデオ40巻が発売され、さらに同社や件の放送局の子会社などからDVDが発売されたが、現在はどこのカタログにもないようである。

さて、ここに印字している「国際スタンダード版」であるが、正規のものは全20巻DVD10枚で、株式会社ワコー製作、株式会社マクザムが2004年に販売していたダイジェスト版である。これは日本語吹き替え版というのがセールスポイントだった。ところがこの写真のものは「全14巻」と印字されており、中身は84巻28枚の完全版である。しかも日本語吹替などは収録されていない。思わず「むむ、なんじゃこりゃ」となってしまう。

各ディスクにメニューがあるが音声は中国語のみで、字幕の選択肢に日本語はない。ただし再生中に字幕を選択すると一応「日本語」を選ぶことはできるが、これがまずもって「パチモン」の名に恥じぬものである。文字の脱落・空白があまりにも多く、表示タイミングのズレも顕著である。いきなりこのDVDを再生する人にはドラマを理解するのに難儀することは想像に難くない。小生は偶々件のコニービデオ社破産のころ、VHS版を町の図書館から借りて全巻見ていたので何とかなった。

思うに、このパチモンDVDの字幕メニュー選択肢が英語・中国語・韓国語の3種であることから、これは日本国内流通版のコピー商品ではなく、日本以外向け完全版からのコピーと思われる。これを日本で売り捌くためには日本語字幕を追加せねばならぬ。おそらくカセットビデオ版を見ながら、ワープロソフトで字幕テキストを打ったが、繁体字コードが適合しなかったために文字の欠落や空白ができてしまったのであろう。

・・・以上は小生の独断と偏見にもとづく戯言に過ぎないが、最近テレビでよく見かける「諸説あります」という呪文を記載すれば免罪となるようなので気楽なものである。

 

 

 

 

 

著作 アルキメデスの館